「週1回の注射で、無理なく10kg近く痩せられるらしい」
そんな噂から注目されているのが、オゼンピック(一般名:セマグルチド)という薬です。
もともとは糖尿病の治療薬として使われてきましたが、最近では“痩せる注射”として美容クリニックなどで自由診療の処方が広がり、テレビやSNSでも話題になることが増えてきました。
実際、正しく使えば3か月で6〜10kgほど減量できるケースもあり、ダイエットに悩んでいた人の間で大きな関心を集めています。
ただし、注射さえ打てば勝手に体重が落ちていくような魔法の薬ではありません。
オゼンピックの仕組みやリスクをきちんと理解したうえで、食事や体調とのバランスをとりながら使っていく必要があります。
この記事では、実際にどれくらい痩せられるのか、どんな人が効果を出しやすいのかなど、信頼できるデータをもとにわかりやすく紹介していきます。
- オゼンピックでどれくらい痩せられるか
- 痩せやすい人・効果が出にくい人の違い
- 副作用を抑えるための使い方
- 費用や入手方法のポイント
- 他のGLP-1薬との違いと選び方
長期投与を継続すれば平均6〜10kgの減量が見込める

オゼンピックの「痩せる効果」がはっきりしてきたのは、「STEP試験」という国際的な臨床試験のシリーズがきっかけです。
中でも「STEP 1」と呼ばれる試験では、糖尿病ではない肥満の方に、週に1回、セマグルチド(オゼンピックと同じ成分)を約16か月投与したところ、平均で体重が14.9%減ったという結果が出ました。
たとえば体重が70kgの人なら、約10.4kgの減量に相当します。
さらに、生活習慣の見直し(食事や運動)を組み合わせた「STEP 3」試験では、平均16%の減量=約11kg減というデータも出ています。
とはいえ、これらの試験で使われたのは「2.4mg」という高用量です。
基本的に日本で自由診療として使われるオゼンピックは、最大でも週1回・1mgまでとされていて、同じ条件ではありません。
そのため、日本国内での実際の使用では、3か月で6〜10kg前後の減量がよく見られる範囲と言われています。
早期に効果を出すには食事と生活習慣の見直しも必要になる
「オゼンピックを使えば、食事制限をしなくても痩せられる」とよく言われますが、何をどれだけ食べてもいいというわけではありません。
オゼンピックが働くのは、食欲を自然と抑えることや、血糖値を安定させること、胃の動きをゆっくりにすることなどを通じて、結果的に摂取カロリーを減らす効果が期待できるというものです。
そのため、食欲が落ちているのに間食や暴飲暴食が続いてしまえば、十分な効果が得られない可能性があります。
また、脂肪を効率よく落とすには、日常的な軽い運動も欠かせません。
ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で身体を動かすことで、薬の効果がより高まりやすくなります。
実際の臨床データでも、オゼンピックの投与とあわせて生活習慣の見直しを行ったグループの方が、減量幅が大きかったことが示されています。
「以前より食べる量が減った」「間食の回数が自然と減ってきた」と感じたときこそ、生活を整える良いタイミングです。
薬の力に頼るだけでなく、自分の生活も少しずつ整えていくことで、無理のないダイエットにつながります。
副作用が少なければより高用量まで増量しやすくなる
オゼンピックの減量効果は、投与量が増えるほど高まりやすいことが多くのデータからわかっています。
とはいえ、いきなり高用量(たとえば1mg)から始めてしまうと、吐き気や下痢、食欲不振といった副作用が強く出ることがあり、治療を途中でやめざるを得なくなるケースもあります。
こうしたリスクを避けるために、多くの医療機関では「少ない量からゆっくり増やしていく段階的な投与」が行われています。
これは“段階増量”または“漸増(ぜんぞう)プロトコル”と呼ばれる方法です。
実際の増量スケジュールは、以下のように進められることが一般的です。
体が薬に慣れるかどうかを2〜4週間かけて確認する
副作用がなければ用量を増やしていく
減量効果が頭打ちになった場合に検討する
このように段階を踏んでゆっくりと増やしていくことで、副作用を最小限に抑えながら、効果を高めることが期待できます。
一方で、もし途中で副作用が強く出てしまった場合は、無理に増やさず、0.25mgで様子を見る、あるいは投与の間隔を空けるといった柔軟な対応が必要になります。
大切なのは、「早く痩せたい」と焦らず、体の反応を見ながら続けることを最優先にすることです。
効果が出やすい人と出にくい人の違いとは?

多くのクリニックの実例や、実際に使った人たちの体験談を見ていると、効果が出やすい人にはある程度の共通点があることがわかります。
たとえば、次のような傾向がある人は、オゼンピックの作用がしっかりと効きやすいとされています。
- BMIがやや高め(27〜35程度)
- 日中にお菓子やジュースなどの間食が多い
- ストレスがたまるとドカ食いしてしまう傾向がある
- ホルモンバランスやインスリンの効きが悪いと指摘されたことがある
このようなタイプの人は、オゼンピックの「食欲を抑える」「血糖値の波をなだらかにする」といった作用がはっきりと現れやすく、体重の減りも順調に進みやすい傾向があります。
一方で、もともと食事量が少なく、定期的に運動もしている、BMIが24〜25程度とそれほど高くないという人の場合、体重の変化がゆるやかだったり、効果を実感しづらいケースもあるようです。
このため、最初から「何kg痩せたい」と決めつけるのではなく、自分の体質や生活習慣に合わせて目標やペースを調整していくことが大切になります。
減量効果はリバウンド予防にもつながる可能性がある

ゼンピックには、単に体重を減らすだけではなく、体脂肪を優先的に落としながら筋肉をできるだけ維持しやすいという特徴があります。
この点は、従来のダイエット法と大きく異なる部分です。
たとえば「STEP 1試験」では、オゼンピックを使って減った体重のうち、およそ80%が脂肪の減少だったというデータが出ています。
一方、食事制限だけのダイエットでは、筋肉も一緒に落ちてしまいがちで、結果的に代謝が落ち、太りやすい体になってしまうことも少なくありません。
筋肉を守りながら痩せることができれば、基礎代謝が維持されやすく、減量後もリバウンドしにくい状態を保ちやすくなります。
単なる体重の数字ではなく、何をどのように落とせるかという視点でも、オゼンピックは十分に評価されている治療法です。
GLP-1の働きが強ければ自然と食欲が抑えられるようになる
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、もともと私たちの体に備わっているホルモンのひとつで、食事をしたあとに腸から分泌されます。
このホルモンには、血糖値をコントロールしたり、自然と食欲を抑えたりする働きがあり、体重の調整にも深く関わっています。
オゼンピックは、このGLP-1の作用を強める薬で、「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれるタイプに分類されます。
体内のGLP-1が強化されることで、「あまりお腹が空かない」「食べなくても平気」と感じやすくなる状態に近づけるのが特徴です。
この章では、オゼンピックを使うことでなぜ食べすぎを防げるのか、どうして自然と摂取カロリーが減っていくのかといった、GLP-1の働きを軸にしたメカニズムをわかりやすく解説していきます。
胃の動きが遅くなれば満腹感が長く続くようになる
ゼンピックを注射すると、GLP-1の働きによって胃の中の食べ物がいつもよりゆっくりと排出されるようになります。
これは「胃排出遅延」と呼ばれる作用で、食べ物が胃に長くとどまるようになることが特徴です。
ふつうであれば、食後の食べ物は数時間かけて小腸へ送られていきますが、GLP-1の作用が強まることでそのスピードがゆるやかになり、「まだお腹に残っている」という感覚が続きやすくなります。
この変化によって、次のようなことが起こりやすくなります。
- 食後の満腹感が長く続く
- 間食したいという欲求が起きにくくなる
- 1回の食事で自然と食べる量が減っていく
つまり、無理に我慢しようとしなくても、結果的に食事量が減っていくという感覚が得られやすくなります。
実際、オゼンピックを使っている人の多くが「気づいたら食べたい気持ちが減っていた」と感じており、これが減量につながる大きな理由のひとつとされています。
血糖値が安定すれば間食欲求が起こりにくくなる
もうひとつ、GLP-1にはインスリンの分泌をうながして、食後の血糖値の急な上昇を抑える働きもあります。
血糖値が一気に上がると、そのあと急激に下がる「血糖スパイク」と呼ばれる現象が起きやすくなります。
この乱高下があると、体はエネルギーが不足したと勘違いして、強い空腹感や甘いものへの欲求を引き起こしやすくなります。
オゼンピックを使うと、次のような変化が期待できます:
- 食後の血糖値の上がり方がゆるやかになる
- インスリンが必要なタイミングでしっかり分泌される
- 血糖値の変動が抑えられ、「急にお腹が空いた」と感じることが少なくなる
このように、血糖値が安定すれば、余計な間食やドカ食いを防ぎやすくなるため、自然と摂取カロリーが抑えられるという効果にもつながっていきます。
食事量が減れば自然と脂肪燃焼が促進される
胃の動きがゆるやかになり、血糖値の変動も落ち着いてくると、食事の量は自然と減っていくようになります。
この状態が続けば、摂取カロリーが消費カロリーを下回り、体はエネルギーを脂肪から補おうとする「脂肪燃焼モード」へと切り替わっていきます。
オゼンピックの大きな特長は、無理に我慢して食べる量を減らすのではなく、「あまり食べたいと思わなくなる」状態をつくれることです。
意識的に制限しなくても、自然と食事量が減っていくことで、次のような変化が起こりやすくなります。
- 体重が少しずつ減っていく
- 体脂肪率が下がる
- 内臓脂肪が落ちやすくなる
また、GLP-1は脳にも作用するため、ストレスが原因で起きる過食や、衝動的に食べすぎてしまう行動にも歯止めがかかる可能性があると言われています。
身体だけでなく、食欲の感覚そのものにも変化が起きていくことが、オゼンピックの大きな魅力のひとつです。
無理な食事制限が続かない人ほど効果を実感しやすくなる
GLP-1製剤の中でもオゼンピックが支持されている理由のひとつは、“意志の力だけに頼らなくても続けられる”ダイエットが可能になるという点です。
これまで糖質制限や置き換えダイエットなど、さまざまな方法に取り組んできたけれど、「我慢が続かない」「結局リバウンドしてしまった」といった経験をした人も多いのではないでしょうか。
オゼンピックを使うことで、次のような変化が現れることがあります。
- 空腹を感じにくくなり、無理せず続けやすくなる
- 食べすぎたあとに後悔する場面が減る
- ダイエットに対するストレスや負担が軽くなる
このような変化は、ただ体重が減るというだけでなく、「ダイエットはつらいもの」というこれまでのイメージを少しずつ変えてくれるきっかけにもなります。
STEP試験の結果を見ればオゼンピックの効果と安全性のバランスが理解できる

オゼンピック(セマグルチド)はもともと、2型糖尿病の治療薬として開発された薬です。
ところが、使っていく中で体重が大きく減る人が多いことが注目され、近年では糖尿病がない肥満の人にもダイエット目的で使われるようになってきました。
その背景にあるのが、「STEP試験」と呼ばれる一連の臨床研究です。
このSTEP試験は、肥満または過体重の人を対象に、オゼンピックがどのくらい体重を減らすのか、安全性に問題はないのかを詳しく調べた国際的なデータ群です。
ここでは、その中でも代表的な試験結果を取り上げながら、オゼンピックがどのようにして痩せる作用をもたらすのか、そして副作用とどう向き合えばよいのかをわかりやすく解説していきます。
試験参加者の減量幅が明確であれば信頼性が高くなる
STEP 1試験では、肥満(BMI30以上)または過体重(BMI27以上)で、何らかの健康リスクを抱えている非糖尿病の方を対象に、週1回のセマグルチド(オゼンピックと同じ成分)を68週間にわたって投与するという方法で検証が行われました。
その結果、以下のような明確なデータが得られています:
- 平均で14.9%の体重が減少
- 体重100kgの人なら、約15kgの減量に相当
- 偽薬(プラセボ)との比較で、12.4%もの体重差が出た
これらの結果から、オゼンピックのダイエット効果は単なる偶然ではなく、統計的にもはっきりと裏付けられていることがわかります。
また、STEP 3試験では、オゼンピックの使用に加えて、厳格な食事管理と運動療法を組み合わせたところ、平均16.0%の体重減少という、さらに高い効果が確認されています。
このように、複数の試験で同様の結果が出ていることからも、オゼンピックが肥満治療において信頼性の高い選択肢のひとつであることが読み取れます。
プラセボ群との差が大きければ薬効が明確に示される
STEP試験では、参加者を「オゼンピックを投与するグループ」と「偽薬(プラセボ)を投与するグループ」にランダムで分け、全員に同じ生活習慣の指導(食事や運動)を行った上で、薬の効果にどれだけ差があるかが検証されました。
その結果、以下のようなはっきりとした違いが確認されています:
試験群 | 平均体重減少率 | 体重100kg換算での減少量 |
---|---|---|
オゼンピック群 | 約15%減 | 約15kg減 |
プラセボ群 | 約2.6%減 | 約2.6kg減 |
差分 | 約12.4% | 約12.4kg |
たった1つの違いは「薬を使ったかどうか」だけなのに、体重にして12kg以上の差がついたという結果です。
この差は、食事や運動といった生活習慣の努力だけではなかなか届かない壁を、オゼンピックが乗り越えたことを示す強力な証拠といえます。
こうした科学的な裏付けがあるからこそ、GLP-1受容体作動薬は肥満治療薬としてアメリカのFDA(食品医薬品局)にも正式に承認されているのです。
副作用の発生率が適切であれば使用継続の安心感につながる
もちろん、効果の高い薬には、それに伴う副作用のリスクもあります。
オゼンピックも例外ではなく、「STEP試験」では副作用についても詳しく報告されています。
実際に報告された主な副作用と、その発現率は次の通りです(STEP 1試験より):
- 吐き気:20%
- 下痢:12%
- 食欲の低下:9%
- 嘔吐:6%
これらの症状は治療を始めた初期に一時的に見られることが多く、時間が経つにつれて自然と落ち着いてくるケースがほとんどとされています。
また、症状自体も軽度〜中等度にとどまることが多く、日常生活に大きな支障をきたすケースはそれほど多くありません。
さらに、重い副作用として挙げられる膵炎や胆石などはごくまれであり、副作用が原因で治療をやめる人の割合は全体の7〜10%程度と報告されています。
このことからも、医師の指示のもとで段階的に用量を調整しながら使っていけば、安全性は十分に確保できると考えられています。
臨床試験を理解すれば現実の使用感にも納得できるようになる
実際のクリニックでも、STEP試験の結果はオゼンピックを処方する際の根拠のひとつとして活用されています。
治療前の説明でも、「信頼できるデータに基づいている」と示すことで、患者の安心感にもつながりやすくなります。
ただし、STEP試験は海外での臨床データであり、日本の医療環境や実際に使われる用量とは一部異なります。
それでも、週1回の投与でここまで減量効果が出る薬は非常に限られており、自由診療でも選ばれる理由のひとつになっています。
BMIが25以上で生活習慣に課題があれば糖尿病がなくても使用が検討される
オゼンピック(セマグルチド)は、もともと2型糖尿病の治療薬として承認された薬です。
ですが最近では、糖尿病がない人でも、条件を満たせば肥満治療に使われるケースが増えています。
これは、GLP-1製剤が血糖を下げるだけでなく、強力な食欲抑制と減量効果を持っていることが広く知られるようになったためです。
この章では、糖尿病がない人がオゼンピックを使う際の条件や背景、そして国内外での実際の使われ方について整理していきます。
肥満が継続すれば将来的な糖尿病リスクが高まる
医学的には、BMI(体格指数)が25以上で「肥満」と判定されます。
この状態が長く続くと、次のようなリスクが高まることがわかっています:
- 耐糖能異常(血糖コントロールがうまくいかなくなる)
- 高血圧や脂質異常症、高尿酸血症の併発
- 睡眠時無呼吸症候群や脂肪肝の進行
- 2型糖尿病の発症リスクの上昇
中でも注意が必要なのが、見た目には痩せているのに、内臓脂肪が多いタイプです。
こうした人は、自覚がないまま糖代謝が乱れ、気づかないうちに糖尿病予備軍になっていることも少なくありません。
このような背景もあり、近年では「糖尿病でなくても、将来の健康リスクを減らす目的でGLP-1製剤を使う」ことに対する理解が広がりつつあります。
海外では非糖尿病でも適応されるケースが広がっている
アメリカでは、オゼンピックと同じ成分を使ったセマグルチド2.4mg製剤(商品名:Wegovy)が、肥満治療薬としてFDA(米国食品医薬品局)に正式に承認されています。
Wegovyの適応条件は以下のいずれかを満たす場合です:
- BMIが30以上
- BMIが27以上で、高血圧・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群などの併存疾患がある場合
つまり、糖尿病でなくても、肥満に関連する健康リスクがあれば治療の対象となることが明確に示されています。
STEP試験をはじめとする海外の臨床研究も、このような条件に当てはまる人を対象に実施されており、実際に多くの非糖尿病者が減量目的でセマグルチドを使用しています。
- 参考:FDA Wegovy 承認情報
- 参考2:EMA Ozempic EPAR
自由診療であれば生活習慣病予防目的でも使用されている
一方、日本ではセマグルチド2.4mg製剤(Wegovy)は未承認のため、糖尿病治療薬として認可されている1mg製剤(オゼンピック)を、自由診療のかたちで肥満治療に使うケースが一般的です。
自由診療とは、健康保険が適用されない医療行為で、医師と患者の合意にもとづき、全額自己負担で行う治療を指します。
そのため、以下のような方にも処方されることがあります:
- 糖尿病ではないが、肥満傾向が強い
- 血糖値や中性脂肪が高めで、将来の健康リスクが気になる
- 過去に何度もダイエットとリバウンドを繰り返している
- ストレスによる過食が続き、食欲のコントロールが難しい
このように、病名がついていなくても「肥満の予防や改善」という目的で医療的なアプローチが取れる手段として、オゼンピックの需要は高まり続けています。
医師の判断によってはBMI24以下でも投与が検討されるケースがある
肥満症の診断基準では、BMI25以上がひとつの目安とされていますが、次のようなケースでは、BMIが24以下でもオゼンピックが処方されることがあります:
- 家族に糖尿病や高血圧の既往が多く、将来的なリスクが高い
- 体脂肪率が高く、内臓脂肪の蓄積が明らかに見られる
- 健康診断で複数の項目に異常が出ている
- ストレスなどの影響で過食傾向が強く、生活改善が難しい
いずれの場合も、自由診療という枠組みである以上、「医師が医学的に必要と判断し、患者が納得していること」が大前提になります。
また、薬の効果だけに頼るのではなく、生活習慣の見直しや定期的なフォローに前向きであることも、処方を受けるうえで重要な要素とされています。
このように、糖尿病がなくても、将来の健康リスクや生活状況をふまえてGLP-1製剤を導入することには十分な合理性があります。
ただし、これはあくまで医師との信頼関係や明確な目的意識があってこそ成り立つ選択肢です。
「楽をして痩せたいから」といった軽い動機だけで使用されるものではありません。
投与初期に副作用が出やすければ段階的に用量を増やす必要がある
オゼンピック(セマグルチド)による減量治療では、しっかり効果を出すために、できるだけ高用量に近づけたいという考え方があります。
一方で、副作用を抑えることも同じくらい大切です。
オゼンピックはGLP-1受容体作動薬の中でも、投与初期に副作用が出やすい薬とされており、急に用量を増やすと体調を崩し、中断につながるリスクもあります。
このため、多くのクリニックでは、少量から始めて徐々に増やしていく「段階増量(漸増)プロトコル」が基本となっています。
これは、効果と安全性のバランスを保ちながら、無理なく治療を続けるための標準的な方法です。
少量から始めれば副作用を最小限に抑えることができる
オゼンピックを使い始めたときに起こりやすい副作用は、主に消化器まわりの症状です。
具体的には以下のようなものが挙げられます:
- 吐き気
- 下痢・便秘
- 食欲不振
- 胃の不快感
- 胸やけやお腹の張り
これらは、体内でGLP-1の濃度が急に高まることに体がまだ慣れていないために起こる、一時的な反応とされています。
そのため、ほとんどのクリニックでは、「まずは0.25mgから始めて様子を見る」という慎重なスタートが基本となっています。
この0.25mgという量は、治療用としてはまだ少ないですが、副作用の出方や体の反応を確認する“慣らし期間”としての役割があります。
このステップを飛ばさず丁寧に進めることで、「副作用がつらくて続けられない」といった途中離脱を防ぎやすくなるというメリットがあります。
吐き気や下痢が続けば用量の見直しが必要になる
副作用の出方には個人差があり、0.25mgという少量の段階でも、強い不調を感じる人がいます。
たとえば、以下のようなケースが見られることがあります:
- 食事がほとんどとれず、生活に支障を感じる
- トイレが近くなり、通勤や外出が不安になる
- 胃のムカつきで気分が沈む
このような場合は、「1週間で0.5mgに増量する」といったスケジュールを無理に守らず、数週間据え置いて様子を見る対応が一般的です。
一方で、副作用がまったく出ていない場合でも、医師の判断を経ずに1mgへ急に増やすことは推奨されていません。
副作用が遅れて出てくることもありますし、食欲が急に落ちすぎて筋肉量が減ってしまうリスクもあるためです。
大事なのは、体調をしっかり観察しながら進めること。
必要に応じて、「一度立ち止まる」「量を戻す」「そのまま維持する」といった柔軟な判断を挟むことが、無理なく治療を続けていくためのポイントになります。
副作用に慣れれば通常量への移行がスムーズになる
オゼンピックを使い始めた人の多くは、最初の1〜2週間を乗り越えると、副作用が徐々に軽くなる、あるいは感じなくなっていくと報告しています。
これは、GLP-1の働きに胃腸や神経系が慣れてくるためと考えられています。
投与スケジュールの一例は以下のような流れです:
期間 | 投与量 | 目的 |
---|---|---|
初期(1〜4週) | 0.25mg | 体を慣らす・副作用の確認 |
中期(5〜8週) | 0.5mg | 効果が出始める段階 |
後期(9週以降) | 1.0mg | 最大効果を目指す・継続治療へ移行 |
副作用がなければ、このスケジュール通りに進めることが可能ですが、途中で不調を感じた場合は、増量を見送ったり、維持したりと柔軟に調整することが大切です。
また、体重が順調に減っている場合でも、減り方が急すぎると、筋肉量の減少や脱水といったリスクが生じることがあります。
「とにかく体重が減っていればいい」と短絡的に判断せず、内容(脂肪と筋肉のバランス)や体調の変化も含めて、慎重に経過を見ていくことが重要です。
体調に合わせて進めれば治療継続率が大きく上がる
GLP-1製剤は効果が高い反面、使い始めの1〜2か月がひとつのハードルになります。
この時期をうまく乗り越えられれば、副作用が落ち着き、食欲も安定し、体重が少しずつ減っていくという好循環に入るケースが多いと報告されています。
この段階で「もう少し続けてみよう」と思えるかどうかが、治療を継続できるかどうかの大きな分かれ目になります。
そのため、クリニック側のサポート体制も重要です。
たとえば:
- 副作用が出たときにすぐ相談できる窓口(LINEや電話など)がある
- 投与スケジュールの柔軟な調整が可能
- 不安をしっかり受け止める丁寧な説明がある
このような体制が整っていれば、途中でつまずいても離脱しにくくなります。
つまり、段階的な用量調整をベースに、安全に継続できる環境を整えることこそが、長期的に成果を出すための基本となるアプローチです。
自由診療を選べばオゼンピックの費用は月額3〜5万円程度になる

オゼンピックをダイエット目的で使う場合、保険診療ではなく「自由診療」として扱われるのが一般的です。
自由診療とは、健康保険が使えず、治療費を全額自己負担で支払う医療サービスのことを指します。
そのため、オゼンピックにかかる費用は決して安くはありません。
ただし、内訳や相場をあらかじめ知っておけば、無駄な出費を避けつつ、安全に治療を続けるための判断材料になります。
この章では、オゼンピックの費用の内訳やクリニックによる金額の違い、さらに安価に見える個人輸入との違いについてもわかりやすく解説していきます。
初診料・診察料・薬剤費を合わせればおおよその費用が見えてくる
自由診療でオゼンピックを受ける場合、費用は主に以下のような項目で構成されています:
項目 | 内容 | 金額の目安 |
---|---|---|
初診料 | 初回カウンセリング・問診 | 約3,000〜5,000円 |
再診料 | 継続時の診察費用 | 約1,000〜3,000円 |
血液検査 | 肝機能・腎機能などの確認(初回のみ) | 約5,000〜10,000円 |
処方料・薬剤費 | オゼンピック本体の費用 | 約20,000〜35,000円/月 |
これらを合計すると、初月はおおよそ3.5〜5.5万円程度が目安になります。
2か月目以降は、薬代と再診料のみとなり、月3〜4万円前後での継続が一般的です。
また、オンライン診療に対応しているクリニックを選べば、初診から再診まで自宅で完結できるため、通院の手間や交通費がかからないというメリットもあります。
オンライン診療を利用すれば移動や通院の負担が軽減される
多くのクリニックが提供するオンライン診療では、以下のようなサービスがセットになっています:
- LINEや専用アプリを使った問診
- 医師とのビデオ通話や電話での診療
- オゼンピックの自宅配送(冷蔵便)
- 注射方法を説明する動画や冊子の提供
こうした仕組みにより、仕事や育児で忙しい人でも、通院せずに治療を始めやすい環境が整っています。
ただし、オンライン診療だからといって必ずしも費用が安いわけではなく、利便性とのバランスを見て選ぶことが大切です。
たとえば、診察料込みで月額3万円以内に収まるクリニックもあれば、サポートが充実している分、月5万円以上かかるケースもあります。
人輸入を選べば費用は下がるがリスクが高まる
「できるだけ費用を抑えたい」という理由から、海外の通販サイトでオゼンピックを個人輸入しようとする人も少なくありません。
実際、薬剤単体であれば、1箱あたり1〜2万円程度で手に入ることもあります。
ただし、個人輸入には以下のような重大なリスクが伴います:
- 日本で未承認の規格(例:2mg以上)が届く可能性
- 輸送中の温度管理が不十分(冷蔵が守られず劣化の恐れ)
- 偽物や成分が一致しない粗悪品のリスク
- 注射針や保管用の器具が付属しない
- 副作用やトラブルが起きても、相談できる医師がいない
さらに、日本の薬機法では、医師の診察を受けずに広告を見て購入する行為や、他人への譲渡・転売が違法とされる可能性もあります。
安さを優先して自己判断で使用した結果、健康被害が出ても誰も責任を取ってくれないというリスクは、決して小さくありません。
効果と安全性を考えれば月3〜5万円は“高くない”という考え方もある
オゼンピックの自由診療費用は決して安くなく、1年間続けると総額で30〜60万円程度になることもあります。
とはいえ、以下のような点をふまえると、一概に「高すぎる」とは言い切れない面もあります:
- 将来的な生活習慣病を予防できれば、医療費や通院の手間が減る
- 長年通ったジムやエステよりも、短期間で結果が出る可能性が高い
- 無理な我慢をしなくても食欲が落ちることで、精神的なストレスが減る
- 激しい運動や極端な食事制限をしなくても効果が出る
実際、オゼンピックを試した人のなかには、「いろいろ試してきた中で、やっと続けられる方法に出会えた」と感じている声も少なくありません。
最終的にその価値があるかどうかは、使い方やクリニックの選び方次第です。
コストを抑えたいなら「セットプラン」や「再診無料」の制度を活用する
費用面で迷っている人に向けて、さまざまな工夫をしているクリニックもあります。
たとえば:
- 初月限定の割引(例:初回28,000円→19,800円)
- 3ヶ月継続で再診料が無料になる制度
- オンライン限定の低価格プラン
- モニター価格での提供
これらは継続治療を前提とした設計になっていることが多く、1回で終わるのではなく、数ヶ月かけて段階的に効果を引き出していくオゼンピックの性質にも合っています。
価格だけで比較するのではなく、「どれだけ手厚くサポートしてくれるか」「無理なく続けられるか」という視点で選ぶほうが、結果的に費用対効果の高い選択につながります。
このように、自由診療で行うオゼンピック治療は一見すると高額に感じられますが、効果・継続のしやすさ・安全性とのバランスを考えれば、決してコストに見合わない治療ではありません。
継続支援があるクリニックを選べばオンライン診療でも安心して使い続けられる
オゼンピックによるダイエット治療で成果を出すには、いかに継続できるかが大きなカギになります。
薬が効果的でも、副作用への不安や注射のやり方がわからない、配送トラブルが重なると、途中で中断してしまうケースは少なくありません。
だからこそ重要なのが、継続支援の体制が整っているクリニックを選ぶことです。
特にオンライン診療では、対面で相談できないぶん、診療の前後にどれだけ手厚くサポートがあるかが、安心して続けられるかどうかに直結します。
LINE相談やアプリ対応があれば不安時もすぐに相談できる
GLP-1製剤を初めて使用する人にとって、「使い始めてからの数週間」が最も不安を感じやすい時期です。
- 注射の打ち方がうまくできているか不安
- 食欲がなくなりすぎて心配
- 下痢や吐き気が出たけれど大丈夫?
- 次の予約を変更したい
GLP-1製剤を初めて使う人にとって、治療を始めてからの数週間は特に不安を感じやすい時期です。
たとえばこんな疑問や不安が出てきます:
- 注射の打ち方が合っているか自信がない
- 食欲が落ちすぎて体調が心配
- 吐き気や下痢が出たけれど、このまま続けて大丈夫?
- 次回の予約を変更したいけれど、どうすればいい?
こうした不安にすぐ対応してくれる相談窓口があるかどうかは、継続できるかどうかに直結します。
たとえば、LINEや専用アプリで手軽にやりとりできるクリニックであれば、小さな不調で治療をやめてしまうような事態を防ぎやすくなります。
一方で、問い合わせフォームのみ、返信が数日後…という対応体制では、途中で不安になって離脱してしまうリスクも高くなるため注意が必要です。
定期配送サービスがあれば注射の継続がスムーズになる
オゼンピックは、週1回の自己注射が基本の治療です。
そのため、薬の配送が遅れたり、冷蔵保存が不十分だったりすると、1回分を打てなくなる・薬が使えなくなるといったトラブルに直結します。
こうした事態を防ぐためには、配送サポートの内容を事前に確認しておくことが大切です。
たとえば、次のような対応があるかをチェックしておきましょう:
- 冷蔵状態で定期的に自動配送してくれるか
- 注射針や保冷バッグなどの付属品も一緒に届くか
- 不在時の再配達に柔軟に対応してくれるか
- 荷物の追跡や到着予定がわかるかどうか
特にオンライン診療では、薬の保管や管理がすべて自己責任になるため、配送体制の整備はそのまま治療の続けやすさにつながります。
専門医の診察が受けられればより安全に治療できる
GLP-1製剤は、体重減少に高い効果を発揮する一方で、消化器系や血糖値などに影響を及ぼすこともあるため、専門的な知識を持つ医師による診療が望まれます。
特に、以下のような持病や背景がある方は、慎重な判断や経過観察が必要です:
- 軽度の糖尿病や耐糖能異常を指摘されたことがある
- 肝機能や腎機能に不安がある
- 精神的な不調やストレスによる過食傾向がある
- 妊娠中、授乳中、または妊娠を予定している
GLP-1製剤を取り扱うクリニックは増えていますが、すべてが同じレベルの対応とは限りません。
なかには、美容外科や皮膚科が「ついでに処方している」といったケースもあり、副作用が出た際の対応や中止の判断が遅れるリスクもあります。
一方で、糖尿病内科や内分泌科出身の医師が在籍しているクリニックであれば、より正確な投与判断と安心できるフォローが期待できます。
費用よりも「続けやすさ」を重視すれば結果につながる
つい料金の安さに目がいきがちですが、GLP-1製剤で最も大切なのは、無理なく治療を続けられる環境が整っているかどうかです。
たとえば、こんなサポートがあると安心して継続しやすくなります:
- 「LINEですぐ相談できたから、中断せずに済んだ」
- 「配送トラブルにもすぐ代替品を手配してくれた」
- 「副作用が出たとき、医師がすぐに量を調整してくれた」
こうした対応があれば、週1回の自己注射も“無理なく続けられる習慣”として定着しやすくなります。
反対に、いくら料金が安くても、連絡が取りづらい・薬に不備がある・診療が事務的すぎるといったクリニックでは、いずれ不安や不満が積み重なり、途中でやめてしまうリスクが高まります。
オンライン診療は便利な一方で、顔が見えない不安や、いざというときに相談しにくいという側面もあります。
だからこそ、しっかりとした継続支援の体制があるクリニックを選ぶことが、安心して続けられるかどうか、そして結果を出せるかどうかの分かれ目になります。
ステップアップ方式で使えば副作用を抑えつつ効果を引き出すことができる

オゼンピックを安全かつ効果的に使い続けるためには、少量から始めて、体の様子を見ながら徐々に増やしていく「ステップアップ方式」が基本とされています。
この方法は、吐き気や下痢といったGLP-1製剤特有の副作用に配慮しながら、最大限の効果を引き出すための国際的な標準プロトコルです。
この章では、ステップアップ方式がなぜ重要なのか、どのように進めるのか、そして効果や副作用にどう影響するのかを、わかりやすく解説していきます。
0.25mgから始めれば体が慣れていきやすい
GLP-1製剤であるオゼンピックは、体が慣れるまでにある程度の時間がかかる薬です。
初回から高用量を投与すると、次のような副作用が強く出てしまうことがあります:
- 吐き気や嘔吐
- 胃もたれ・食欲不振
- 下痢・腹痛
- 倦怠感・脱力感
こうしたリスクを避けるために、多くのクリニックでは段階的に用量を増やしていく「ステップアップ方式」が採用されています。
たとえば、次のようなスケジュールです:
投与期間 | 推奨用量 | 目的 |
---|---|---|
初期(1〜4週) | 0.25mg/週1回 | 副作用の確認・体を慣らす |
中期(5〜8週) | 0.5mg/週1回 | 効果が現れはじめる |
後期(9週以降) | 1.0mg/週1回 | 減量効果の最大化を目指す |
このように、少しずつ体内の濃度を高めていくことで、副作用を抑えながら無理なく効果を引き出せるのが、ステップアップ方式の大きな利点です。
徐々に1mgまで増やせば最大の効果を狙える
臨床データ(STEP 1〜4など)では、セマグルチドの用量が増えるほど減量効果が高まることが確認されています。
とはいえ、1mgまで増やせば誰でも劇的に痩せる、というわけではありません。
実際には、次のようなパターンも多く見られます:
- 0.5mgの段階で十分な効果を感じる人もいる
- 1mgに上げたことで副作用が再び出るケースもある
- 増量の目的は、体が慣れたうえで必要に応じて効果を高めること
つまり、「早く痩せたいから最初から1mgで」と焦ってしまうと、副作用で中断するリスクが高まり、本来得られるはずの効果を逃す可能性があります。
大切なのは、医師と相談しながら、タイミングを見て適切な量に進めていくこと。
誰にとっても1mgがベストとは限らず、体調や効果の出方に合わせた個別対応が何より重要です。
投与スケジュールを守ればリバウンドも起こりにくくなる
GLP-1製剤は効果が高い反面、自己判断で中止したり、勝手に用量を変えたりするとリバウンドが起こりやすいという特性もあります。
特に、急にやめてしまうと、抑えられていた食欲が一気に戻り、短期間で体重が元に戻ってしまうケースも少なくありません。
こうしたリスクを防ぐためには、段階的なスケジュール管理が重要です。
たとえば:
- 副作用が出ているときは、増量せず様子を見る
- 効果が鈍ってきたと感じたら、医師と相談して増量を検討
- 無理に量を増やさず、今の用量で維持する選択もある
- 減量が進んでも、一定期間は維持目的で継続する
このように、体の反応に合わせて柔軟に調整しながら続けることで、治療の安定性が高まります。
また、ステップアップ方式を丁寧に守ることで、急激な体重減少による代謝の低下や筋肉量の減少も防ぎやすく、より健康的に痩せていくことができます。
医師のフォローがあれば柔軟な調整が可能になる
GLP-1製剤は、副作用の出方も効果の現れ方も人によって大きく異なります。
そのため、決まったスケジュール通りに進めるのではなく、体調に合わせて柔軟に調整していくことが大切です。
たとえば、以下のような判断が求められることもあります:
こうした調整を自己判断で行うのではなく、医師と相談しながら進められる環境があるかどうかが、治療を成功させる大きなポイントになります。
ステップアップを守れた人ほど「ストレスなく痩せられた」と実感している
実際にオゼンピックを使った人の体験談を見てみると、「副作用が心配だったけれど、少しずつ量を増やしたら慣れてきた」「我慢せずに自然と食欲が落ちて、気づいたら食事量が減っていた」 といった声が多く聞かれます。
こうしたケースは、まさにステップアップ方式がうまく機能した例だといえます。
一方で、「最初から量が多すぎて吐き気がつらく、続けられなかった」「効果はあったけど、不快感が強くて中断した」 という声もあり、これらは多くの場合、自己判断で急ぎすぎたことや、適切な進め方ができていなかったことが原因です。
このように、オゼンピックを安全に、そしてしっかりと効果を引き出すには、ステップアップ方式を守りながら、自分の体の変化を丁寧に見ていくことが何より大切です。
副作用が少ない人はスムーズに進められることが多いですが、慎重に調整しながら続けた人ほど、最終的に無理なく継続できているという事例も多く見られます。
その積み重ねが、「健康的に痩せられている」という確かな結果につながっていること自体が、何よりの説得力ある“データ”と言えるのではないでしょうか。
成分の違いを理解すればマンジャロやリベルサスとの使い分けができるようになる
GLP-1受容体作動薬を使ったダイエット治療が広がるなかで、「オゼンピック」「マンジャロ」「リベルサス」など、複数の選択肢が登場しています。
これらはすべて、“痩せるホルモン”と呼ばれるGLP-1の働きを活用している点では共通していますが、成分・作用の仕方・投与方法・効果の出方などにそれぞれ違いがあります。
どの薬が自分に合っているかを判断するには、特徴をしっかり比較したうえで、自分の目的や生活スタイルに合ったものを選ぶ視点が大切です。
セマグルチドとチルゼパチドの作用差を知れば目的に合わせて選べる
各薬剤の有効成分と作用の違いは、以下のとおりです:
製品名 | 有効成分 | 主な作用 |
---|---|---|
オゼンピック | セマグルチド | GLP-1受容体作動薬 |
リベルサス | セマグルチド(経口) | GLP-1受容体作動薬(経口タイプ) |
マンジャロ | チルゼパチド | GLP-1+GIPの二重作動薬 |
中でもマンジャロ(チルゼパチド)は、GLP-1に加えてGIPという別のホルモンにも作用する“二重作動薬”で、より強い食欲抑制や血糖コントロールが期待できる次世代型とされています。
このような違いにより、以下のような使い分けが考えられます:
- 副作用を抑えつつ始めたい人には オゼンピック
- 注射に抵抗がある人には 経口薬のリベルサス
- オゼンピックで効果が頭打ちになった人には マンジャロ
特に、肥満度が高い方や糖代謝に問題がある方では、マンジャロの減量効果が大きいという研究報告も出ています。
経口薬と注射薬の違いを理解すれば継続性に差が出る
継続治療において、投与方法の選び方も重要です。
オゼンピックとマンジャロは週1回の自己注射、リベルサスは毎日の内服薬となっています。
薬剤 | 投与頻度 | 特徴 |
---|---|---|
オゼンピック | 週1回注射 | 慣れれば負担が少ない/副作用安定 |
リベルサス | 毎日服用(空腹時) | 注射不要/飲み忘れリスクあり |
マンジャロ | 週1回注射 | 効果が強い/副作用注意 |
たとえば、「週1回の注射なら続けられそう」「飲み薬のほうが自分には合っている」といったように、 投与方法の向き不向きは生活スタイルや性格によって異なります。
また、注射が苦手でリベルサス(経口薬)を選んだものの、毎日決まったタイミング(空腹時)に服用しなければならず、思ったより手間がかかって続けづらいと感じるケースもあります。
そのため、薬のタイプにこだわるよりも、「自分が無理なく続けられるかどうか」を軸にして、投与方法を選ぶことが大切です。
比較表で違いを視覚化すれば判断がしやすくなる
各製剤の違いをまとめた比較表は以下の通りです:
項目 | オゼンピック | リベルサス | マンジャロ |
---|---|---|---|
主成分 | セマグルチド | セマグルチド | チルゼパチド |
作用 | GLP-1単独 | GLP-1単独 | GLP-1+GIP |
投与 | 週1回注射 | 毎日内服 | 週1回注射 |
効果 | 中程度 | 緩やか | 強力(GLP-1中最高水準) |
副作用 | 軽度〜中程度 | 比較的少なめ | やや強めに出やすい |
価格帯 | 中(3〜5万円) | やや安い(2.5〜4万円) | 高め(4.5〜6万円) |
このように、どれかが「絶対に優れている」というわけではなく、目的・副作用への耐性・継続のしやすさで使い分けるべきなのです。
専門医の診察があれば併用・乗り換えも柔軟に対応できる
ダイエット治療では、最初から自分にぴったり合う薬を見つけるのは難しいこともあります。
「オゼンピックで効果が頭打ちになった」「リベルサスでは思うように減らなかった」――こうしたケースは実際によくあります。
そんなときに大切なのが、他のGLP-1製剤への“乗り換え”を柔軟に検討できる体制があるかどうかです。
対応例としては、次のような流れが一般的です:
このように、副作用の有無や生活スタイルだけでなく、「効果の出方」に応じて治療方針を見直せるクリニックを選ぶことが、成功のカギになります。
GLP-1製剤の選択肢が増えている今、大切なのは「比較して終わり」ではなく、「自分に合う薬をきちんと理解し、納得して選ぶ」ことです。
さらに、選んだあとは、副作用の出方や体重の変化、気持ちの波に応じて、用量や投与方法を柔軟に調整しながら継続できるかどうかが結果に大きく影響します。
よくある誤解を解消すればオゼンピックを正しく使い続けることができる

オゼンピックは、GLP-1受容体作動薬の中でも特に高い減量効果が期待できる治療薬として注目されています。
その一方で、SNSや一部のメディアを通じて、誤った情報や過度な期待、不安が広がっている現状もあります。
そうした誤解に影響されると、本来は安全に使えるはずの治療法を、「怖い薬」「自分には効かないもの」と決めつけてしまい、正しい選択を見失う可能性があります。
ここでは、実際によくある疑問や誤解を取り上げながら、正しい情報に基づいて治療をどう判断し、どう向き合えばよいかをわかりやすく整理していきます。
「痩せない」と感じる原因の多くは使い方やタイミングの問題である
「オゼンピックを使っているのに全然痩せない」「自分には効かないかもしれない」といった声を見かけることがあります。
ですが、こうしたケースの多くは、使用タイミングや前提条件にずれがあることが原因です。
たとえば次のような状況が挙げられます:
- まだ0.25mgの導入期で、効果が出る前に判断してしまっている
- 投与を数週間で中断している
- 注射のタイミングや間隔が正しく守られていない
- 食事内容がほとんど変わっていない
- 間食や飲酒の習慣が続いている
GLP-1製剤は、効果が出始めるまでに一定の時間がかかるタイプの薬です。
特に最初の数週間は「体を慣らす期間」として位置づけられており、急激な変化は見られにくいのが特徴です。
そのため、「期待したほど早く痩せない」と感じても、すぐに効果がないと判断するのではなく、
正しい投与スケジュールを守りつつ、食生活の見直しを含めて3か月以上じっくり続けることが必要になります。
飲酒や間食が多ければ減量効果が下がる可能性がある
オゼンピックは、食欲を自然に抑える作用のある薬ですが、「何を食べても痩せる」ような魔法の薬ではありません。
特に、次のような生活習慣がある場合は注意が必要です:
- 夜にお酒を飲む習慣がある
- 甘いお菓子やジュースを頻繁に摂っている
- 外食やコンビニ食が中心で、脂質・糖質が多い食生活になっている
- ストレスによって、無意識に食べすぎてしまうことがある
GLP-1は、空腹感を自然と減らすには効果的ですが、自分の意志で選んで食べてしまう嗜好品への衝動までは完全に抑えられません。
そのため、薬の効果をしっかり引き出すには、何を・いつ・どのように食べるかを見直しながら、ストレスとの向き合い方も含めて生活全体を整えていくことが求められます。
妊娠・授乳中は使用できないためライフイベントに応じた中止判断が必要になる
オゼンピックは、妊娠中・授乳中の使用が禁忌とされています。
これは、動物実験で胎児への影響が示唆されていることに加え、ヒトにおける安全性がまだ十分に確認されていないためです。
また、妊娠を予定している段階であっても、少なくとも妊娠の2か月以上前には使用を中止することが推奨されています。
以下のような方は、あらかじめ医師と慎重に相談する必要があります:
- 不妊治療を受けている
- 近いうちに妊娠を考えている
- 現在授乳中である
- 将来的に妊娠を希望している
GLP-1製剤は胎盤を通過する可能性があるため、妊娠が判明した時点で直ちに使用を中止するのが基本です。
ライフイベントと治療期間が重なる可能性がある場合は、あらかじめ治療の期間や目標を区切って始めることで、安全に進めやすくなります。
停止後にリバウンドが起こるのは“薬だけに頼っていた”ことが原因になる
オゼンピックを数か月使って、しっかりと体重を落とせた人の中にも、「やめたとたんにリバウンドした」というケースは実際に報告されています。
一見すると、「薬の効果は一時的だった」と感じるかもしれませんが、 多くの場合は、投与中に整っていた生活習慣が薬の終了とともに元に戻ってしまったことが背景にあります。
たとえば、
- 食事量が減っていたのは、薬による食欲の抑制があったから
- 間食を我慢できていたのは、自然な満腹感が続いていたから
- 根本的な食習慣や行動は変わっていなかった
こういったケースでは、薬をやめたあと、以前の食行動に戻りやすく、結果として体重も元に戻ってしまいます。
このようなリバウンドを防ぐには、オゼンピックの効果が続いている間に、少しずつ「薬がなくても太りにくい生活習慣」へと移行していくことが重要です。
具体的には、
- 食事の内容を整える習慣を身につける
- ストレスに流されずに間食をコントロールする力をつける
- 軽い運動を日常生活に組み込む
- 「空腹でも食べすぎない」感覚を体で覚えておく
こうした取り組みを重ねることで、薬をやめたあとも体重を安定して保てる状態に近づいていけます。
SNSの噂や副作用報告を鵜呑みにせず、医師の意見を最優先にするべき
SNSでは、「オゼンピックで死にそうになった」「まったく効かなかった」といった極端な体験談が拡散されることがあります。
しかし、そうした投稿の多くには、次のような背景が含まれています:
- 医師の指示を守らず、自己判断で使用していた
- 海外サイトで購入した製品を個人輸入して使っていた
- 自分に合わない量を一気に増やしてしまった
- 効果が出る前に短期間で判断してしまった
- 他の持病や服用中の薬との影響を考慮していなかった
もちろん、薬である以上、副作用のリスクはゼロではありません。
だからこそ、自己判断で使わず、不安があればすぐに医師に相談するという基本を守ることが大前提です。
誤解や噂に振り回されないためには、正確な医療情報に触れ、信頼できる専門家のサポートを受けることが何よりも大切です。
オゼンピックは、正しく使えば継続的な減量を支える強力な治療手段になります。
一方で、誤った情報に基づいて使えば、思うような結果が出ないだけでなく、体調を崩すリスクすら伴います。
大切なのは、正しい知識にもとづいて、自分の状態に合った使い方を選ぶこと。
この積み重ねが、安全に続けながら、確実な効果につなげていくための土台となります。
よくある質問(FAQ)
- オゼンピックはどのくらいで痩せ始めますか?
-
個人差はありますが、早い方では2〜4週目あたりから食欲の変化を感じ始めます。
本格的な減量効果は3か月ほどの継続で6〜10kg前後が目安です。
- 副作用が心配です。どんな症状が出ますか?
-
よくあるのは吐き気・下痢・食欲不振・胃の不快感などの消化器症状です。
多くは投与初期に一時的に出るもので、少量から始めて慣らしていけば抑えられる傾向があります。
- 効果が感じられないのですが、使い方が間違っているのでしょうか?
-
多くの人は0.25mgから始めるため、最初の数週間は“慣らし期間”です。
食事内容や生活習慣が変わっていない場合、効果が出にくいこともあります。
3か月以上を目安に、医師の指導のもと継続することが大切です。
- 注射が苦手です。飲み薬の選択肢はありますか?
-
リベルサスという経口GLP-1製剤がありますが、毎朝空腹時に服用しなければならず、継続のしやすさには個人差があります。
- オゼンピックを使えば運動しなくても痩せますか?
-
食欲は自然に落ちますが、軽い運動(ウォーキング・ストレッチなど)を組み合わせることで脂肪燃焼が促進され、リバウンドも防ぎやすくなります。
- 妊娠を考えているのですが、使用しても大丈夫ですか?
-
妊娠中・授乳中は使用できません。
妊娠を予定している場合は、少なくとも2か月以上前に中止する必要があります。必ず医師に相談してください。
- 一度痩せても薬をやめたらリバウンドしませんか?
-
治療中に食生活や生活習慣を整えていればリバウンドは防ぎやすくなります。
逆に、薬の効果だけに頼っていた場合は、体重が戻ることもあります。
- 副作用がつらいときはどうすればいいですか?
-
無理に増量せず、現状の量で据え置く・投与間隔を調整するなどの対応で副作用が軽減することがあります。
必ず医師と相談のうえ対応しましょう。
- 海外通販サイトで買えば安いと聞きましたが?
-
個人輸入は未承認規格や温度管理不備、偽造品のリスクが高く、万が一のとき医師に相談できないため、安全性の面で大きな問題があります。
正規の医療機関での処方が推奨されます。
- 月々どのくらいの費用がかかりますか?
-
自由診療では、初月が3.5〜5.5万円前後、2か月目以降は月3〜4万円程度が一般的です。
オンライン診療やサポート内容により異なります。