厚生労働省が行った調査によると20歳以上の男女のうち男性の3割、女性の2割が肥満に分類されています。
肥満者(BMI≧25kg/㎡)の割合は男性33.0%、女性22.3%であり、この10年でみると、女性では有意な増減はみられないが、男性では平成25年から令和元年の間に有意に増加している。
参照元:国民健康・栄養調査報告 - 厚生労働省
医療の力で痩せるダイエット方法として、メディカルダイエットがあります。
医療機関のサポートにより健康的に減量できるため、効果と安全性が高いダイエット方法です。
今回はメディカルダイエットの治療方法やメリットとデメリット、治療を受ける医療機関の選び方についてまとめました。
- メディカルダイエットの定義と目的
- メディカルダイエットに向いている人の特徴
- メディカルダイエットの治療方法
- メディカルダイエットのメリットとデメリット
- 医療機関を選び方と受診の流れ
メディカルダイエットはダイエットが長続きしない人や、自己流の方法で効果が出なかった人も減量できる可能性があります。
メディカルダイエットの基本をわかりやすく解説
メディカルダイエットとは、医薬品や医療機器を用いて行うダイエットのことです。
効能が認められている医薬品を使用するため、高い効果が期待できます。
医療機関がサポートしながら、患者の体質や体型に合わせた治療を行います。
他のダイエット方法との大きな違いは、医療行為である点です。
痩身エステやジムのトレーニングなどは医療行為ではないため、特別な資格がなくても施術を行えます。
しかしメディカルダイエットで施術を行うのは、医師または看護師などの資格を持つ医療従事者に限られます。
メディカルダイエットの費用は、専門的な治療や医薬品の使用により一般的なダイエットよりも高くなる傾向です。
ただし一時的な減量ではなく体質改善が可能なため、長く効果を得られます。
続いて、メディカルダイエットの目的と向いている人の特徴について解説します。
メディカルダイエットの目的は健康的な減量である
メディカルダイエットには健康的に体重や体脂肪を減少させ、体型を改善する目的があります。
単に痩せるのではなく、健康と安全を優先したダイエット方法です。
急激な減量は体への負担が大きいため、無理のない治療計画が提案されます。
1ヵ月に減量するのは、体重の5%以内が目安です。
医療機関により、定期的に経過の観察や治療計画の調整が行われます。
体重は健康と栄養状態を示す目安となり、健康を維持するためには体重管理が大切です。
肥満度を判定する基準には、BMIと呼ばれる国際的な指標があります。
BMIを求める計算式は、体重(kg)÷身長(m)の2乗です。
参照元:BMI - 厚生労働省
BMIの数値が25以上ある場合、肥満に分類されます。
肥満には内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の2種類があり、内臓脂肪型肥満は生活習慣病を発症する原因の1つです。
内臓脂肪型肥満に高血圧症と高血糖、脂質異常症が組み合わさった病態をメタボリックシンドロームと呼びます。
メタボリックシンドロームは腹囲や中性脂肪などの項目により診断されるため、適切な体重管理や脂肪の減少が大切です。
メディカルダイエットに向いている人の特徴を紹介
メディカルダイエットに向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- 食事制限や運動をする自信がない人
- 自己流のダイエットで失敗した人
- リバウンドするのを避けたい人
- 特定の部位の脂肪が気になる人
医療機関の管理下でダイエットを進めるため、自分で管理するのが苦手な人も減量できます。
医療的な観点からのアプローチにより、自己流のダイエットで失敗した人やリバウンドしてしまった人も成功できる可能性が高まるでしょう。
なお以下にあてはまる人は、メディカルダイエットの対象外となります。
- BMIが18.5以下の人
- 妊娠中または授乳中の女性
- 特定の薬を服用している人
- 治療に使用する薬剤にアレルギーがある人
- 病気の既住歴からリスクが高いと医師が判断した人
BMIの数値が18.5以下の人は痩せ型に分類されるため、ダイエットの必要がありません。
上記以外にも通院中の人や健康に不安がある人は、医師と相談した上で治療を進めるのが大切です。
メディカルダイエットの治療にはいくつか種類があり、自分に合った方法を選べます。
メディカルダイエットの治療方法について解説
メディカルダイエットの治療には、大きく分けて以下の4種類があります。
- 内服薬
- 注射
- 点滴
- 医療痩身マシン
上記の中で一般的なのは、内服薬の服用です。
近年では、GLP-1受容体作動薬を内服する治療が人気を集めています。
GLP-1は、血糖値を下げる効果があるホルモンの一種です。
国内の学会で発表された資料によると、GLP-1受容体作動薬の服用による体重減少の効果が認められています。
参照元:GLP-1受容体作動薬の体重減少効果 - J-STAGE
毎日決められた量の薬を飲むだけで効果が得られるため、忙しい人も継続可能です。
医療機関で打ってもらう脂肪溶解注射は、脂肪細胞を減少させるのに効果的です。
点滴は主に基礎代謝を上げる目的で使用され、体質改善や美肌、疲労回復などに効果があります。
医療痩身マシンの種類は、主に以下の4つです。
- 医療ハイフ
- 医療電磁場EMS
- 脂肪冷却
- ラジオ波
医療痩身マシンによる施術は脂肪吸引などの外科手術に比べて体への負担が少なく、ダウンタイムが短いのが特徴です。
医療機関によって対応しているメニューが異なるため、治療を始める前にカウンセリングで確認しましょう。
治療は、診察やカウンセリングとダイエットプログラムによって進められます。
医療機関の診察とカウンセリングが行われる
治療を始める際は、最初に医師の診察とカウンセリングが行われます。
診察では身長や体重、腹囲など必要な数値を測定して現状を把握します。
メディカルダイエットは健康的に痩せるのを目的としているため、健康状態の確認が必要です。
データを基に医師と目標を共有し、治療についての説明を受けます。
患者によって健康状態や体質が違うため、治療計画も一人ひとり異なるのが特徴です。
診察とカウンセリングが終わると、ダイエットプログラムが開始されます。
治療には3つのダイエットプログラムがある
治療は、以下の具体的なダイエットプログラムで進められます。
- 薬物療法
- 食事療法
- 運動療法
カウンセリングの後は、薬物療法を始めるのが一般的です。
薬物療法は薬を使用して行う医学的な治療で、ダイエット効果のある薬が処方されます。
以下は、医薬品による効用の具体例です。
- 食欲を抑える
- 脂質の吸収を抑える
- 糖質の吸収を抑える
- 基礎代謝を上げる
継続した薬の服用により、体重の減少や体型の変化へとつながるでしょう。
効果には個人差があり、患者によって用量が異なる場合があります。
効率的に減量するため、医療機関は食事や運動を含めた総合的な治療計画を立てます。
状況に応じて食事と栄養に関する専門家である栄養士と連携し、食事についての指導が行われます。
他にも過度な運動は必要ありませんが、軽いウォーキングなどの有酸素運動はダイエットに効果的です。
このような治療方法で進められるメディカルダイエットには、メリットとデメリットが存在します。
メディカルダイエットにはメリットとデメリットがある
メディカルダイエットには以下のようなメリットとデメリットがあるため、よく理解した上で治療を始めるのが大切です。
メリット | デメリット |
---|---|
・安全性や信頼性が高い ・即効性や部分痩せが期待できる ・無理なく続けられる ・長期的な健康効果が期待できる | ・ダウンタイムや副作用のリスクがある ・医療機関を慎重に選ぶ必要がある ・治療には費用や時間がかかる |
ダイエット効果のある医薬品が通販などで販売されていますが、医療機関を受診するのが重要です。
日本国内で正規に流通している医薬品は、医薬品医療機器等法に基づいて品質や安全性が確認されています。
参照元:医薬品・医療機器 - 厚生労働省
偽造品や粗悪品の恐れもあり、自己判断で使用するのは危険です。
参照元:医薬品等を海外から購入しようとされる方へ - 厚生労働省
ここからは、メディカルダイエットのメリットとデメリットについて解説します。
安全性や信頼性が高い
メディカルダイエットのメリットとして、安全性や信頼性の高さが挙げられます。
医療機関のサポートを受けながら健康的に減量し、目標体重や理想の体型を目指せます。
医師の指導により治療が進められるため、無理な減量は行いません。
自己流のダイエットは、急激な減量で体調不良を引き起こす恐れがあります。
治療には医学的な効果が認められた医薬品を使用するため、信頼性の高さも特徴です。
ダイエット効果を謳うサプリメントも多数販売されていますが、医薬品はより高い効果を期待できます。
人によって個人差はありますが、比較的短期間で効果が現れる傾向があります。
即効性や部分痩せが期待できる
メディカルダイエットは医学的な根拠に基づいて効率的な減量を目指せるため、即効性や部分痩せを期待できます。
治療方法にもよりますが、効果が現れるまでの期間は最短で1〜2週間程度です。
短期間で結果が出るため、これまでダイエットが長続きしなかった人にも向いています。
体重の減少や見た目の変化は、さらなるダイエットへのモチベーションにつながるでしょう。
脂肪細胞を破壊して老廃物として体外に排泄し、気になる箇所に直接作用します。
通常のダイエットでは落とすのが難しい、皮下脂肪の減少にも効果的です。
他にも、電気を流して筋肉に刺激を与える医療用EMSという医療機器もあります。
医療用EMSは元々筋力を強化する目的で使用されていますが、ダイエットにも有効です。
機器から流れた電流がインナーマッスルを刺激し、体を引き締める効果があります。
理想の体型になるには継続した治療が必要ですが、メディカルダイエットは負担が少なく続けられます。
無理なく続けられる
メディカルダイエットはトレーニングや過度な食事制限がないため、無理なく続けられます。
ダイエットのトレーニングや食事制限が辛くて、途中で挫折してしまう人もいるでしょう。
メディカルダイエットは我慢や忍耐が必要なダイエットが続かなかった人も、無理なく減量を目指せます。
一般的なダイエットは、減量に向けての自己管理が基本です。
食事や運動の管理が行われていないと結果が出ないため、挫折するきっかけとなります。
自分一人で行うダイエットは、孤独からモチベーションの維持が難しい一面もあります。
それに対してメディカルダイエットは、自己管理に自信がない人に最適なダイエット方法です。
本人の負担が少なく、医療機関のサポートを受けながら計画的に治療を進められます。
患者によって内容は異なりますが、薬を服用するだけの治療もあり、比較的簡単に継続できます。
治療の継続により体質が改善され、健康にも効果的です。
長期的な健康効果が期待できる
メディカルダイエットは徐々に体質が変わっていくため、長期的な健康効果が期待できます。
薬の服用により血圧やコレステロール値が下がる可能性があり、生活習慣病の予防に効果的です。
高血圧や高コレステロールは動脈硬化を招き、心臓や血管の病気へとつながります。
治療では食事や運動の指導も行われ、徐々に脂肪が増えづらい体質へと変化していきます。
体質の変化や生活習慣の改善により、リバウンドの予防や体型維持が可能です。
ダウンタイムや副作用のリスクがある
メディカルダイエットは、施術後のダウンタイムや薬の服用による副作用が発生するリスクがあります。
ダウンタイムとは施術後に体が回復し、日常生活を送れるようになるまでにかかる期間のことです。
治療によってダウンタイムは異なりますが、内出血や傷跡ができる施術は回復までに時間がかかる場合があります。
さらに医薬品には、効果や効能がある代わりに副作用が起こる可能性もあります。
以下は、副作用の具体例です。
- 吐き気
- 頭痛
- 下痢
- 低血糖
- 急性膵炎など
前提として、医師が処方した用法や用量を守った服用が大切です。
副作用には個人差があり、継続して薬を服用するうちに症状が落ち着く場合もあります。
医療機関によって治療内容や使用する医薬品が異なり、自分で選択が求められます。
医療機関を慎重に選ぶ必要がある
メディカルダイエットは医療機関によって治療内容や費用が異なるため、慎重に選ぶ必要があります。
数多くある医療機関の中から、自分に合う治療を選ぶのが難しいと感じる人もいるでしょう。
ホームページの情報は治療メニューや費用、医師の実績について知るのに役立ちます。
医療機関によっては、オンライン診療に対応している場合もあります。
対面とオンラインは特徴が異なるため、自分に合った医療機関選びが大切です。
治療には費用や時間がかかる
メディカルダイエットは継続した治療が必要となり、費用や時間がかかります。
自由診療であるため、原則として保険の適用外です。
治療には医薬品や医療機器を使用し、一般的なダイエットよりも費用が高くなる傾向です。
さらに、医師の診察代やダイエットのサポートに関する費用もかかります。
効果には個人差があるため、目標の体重や体型になるまで時間がかかる場合もあるでしょう。
治療期間が長くなるほどかかる費用が増え、経済的な負担が大きくなります。
メディカルダイエットを始める手順を解説
メディカルダイエットを始めるには治療を受ける医療機関を選択し、受診する必要があります。
メディカルダイエットを始める手順は、大きく分けて以下の2つです。
- 医療機関を選ぶ
- 治療を始める流れを把握する
初めての人は、医療機関の選び方がわからない人や初回の受診が不安な人もいるでしょう。
上記で解説したとおり、治療内容や使用する医薬品は医療機関によって異なります。
自分が希望する治療がある場合は、事前に確認が必要です。
ダイエットの成功には医療機関の選択が大きく影響するため、ここからは選び方と受診の流れについて解説します。
治療する医療機関の選び方には3つのポイントがある
治療する医療機関を選ぶ際は、以下3つのポイントを意識して選びましょう。
- 実績や症例数の多さ
- 丁寧なカウンセリング
- 明確な料金体系
実績や症例数の多い医療機関ほど、ダイエットに成功するためのノウハウも豊富です。
患者数が多い医療機関ほど成功例や症例写真が多く、目標の設定や治療後の姿を想像するのに役立ちます。
治療経験が豊富な医師は専門性が高いため、適切な治療を受けられます。
さらにダイエットを成功させるためには、カウンセリングも重要です。
治療にはいくつか種類があり、患者一人ひとりに合わせた治療が行われます。
カウンセリングは結果に大きく影響するため、信頼して相談できる医療機関が候補です。
継続して治療を受けるには、無理なく支払える費用に抑える必要があります。
メディカルダイエットは費用が高い傾向があり、医療機関によって異なります。
治療にかかる費用を把握するため、明確な料金体系も医療機関を選ぶポイントの1つです。
医薬品ごとに1ヵ月あたりの料金が明記されていると、おおまかな費用がわかります。
費用は治療の内容や期間によって増減しますが、追加費用が多いと予想外に出費が増える可能性があります。
不明な点は事前に明らかにし、合計でどのくらいかかるか把握しておくのが大切です。
初めて受診する場合の流れを紹介
初めて受診する場合のおおまかな流れは、以下のとおりです。
- カウンセリング、診察
- 治療計画の提案
- 医薬品の処方、施術
初めて受診する場合は、医療機関によるカウンセリングを行います。
カウンセリングの方法は、対面またはオンラインです。
対面はくわしい診察や状況の把握ができるため、病歴や薬のアレルギーなど不安を抱えている人に向いています。
住んでいる場所の制限を受けず、医療機関を選ぶ選択肢が広がるでしょう。
治療を始める前は医師が診察し、患者の健康状態や体型を把握します。
さらに他にもヒアリングやアンケートにより、生活習慣や過去の病歴など情報の提供が必要です。
カウンセリングと診察の後は、医学的な根拠や過去の症例など複数のデータに基づいた治療計画が提案されます。
説明を受けて治療を開始する場合は、内服薬などの薬が処方されます。
オンラインの場合は、自宅に薬の郵送が可能です。
治療内容によっては、注射や医療痩身マシンによる施術が行われる場合もあります。
医療機関によって異なりますが、治療計画には食事や運動の指導も含まれます。
薬の投与だけでなく、総合的な働きかけによりダイエットの成功率が高くなるためです。
医師の指示に従って薬を服用し、定期的に診察が行われます。
人によって薬の効果に差が出るため、薬の用量変更や治療計画の調整をしながら治療が進められます。
メディカルダイエットは効果と安全性が高い体重管理法である
メディカルダイエットは医療行為であり、効果と安全性が高い体重管理法です。
医学的な根拠に基づいた治療や医薬品の使用により、健康的に体重を減らせます。
健康を維持するためには適切な体重管理が必要となり、肥満は健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
体重管理には、体の不調や病気を予防する効果があります。
治療により脂肪が増えづらい体質へと変化していくため、長期的な健康効果も期待できます。
さらにメディカルダイエットは一般的なダイエットと異なり、食事制限や過度な運動は必要ありません。
無理せず継続できるため、自己管理に自信がない人やこれまでダイエットで失敗した人にも向いています。
治療を始めるには医療機関を選び、カウンセリングと診察を行います。
オンラインのカウンセリングや診察に対応している場合もあるため、自分に合った医療機関でメディカルダイエットを始めましょう。