植毛手術はやめたほうがいい？後悔しないための選び方と注意点

植毛治療は、内服薬や外用薬による治療で十分な改善が見られない場合に検討される薄毛治療法の一つです。

植毛治療の特徴として、自身の毛髪を移植することで自然な仕上がりが期待でき、一度定着すれば継続的なメンテナンスが不要という点が挙げられます。

しかし、「植毛はやめたほうがいい」という意見を耳にすることも多く、治療を迷っている方も多いのではないでしょうか。

確かに植毛治療には、手術に伴うリスクや費用面での負担、術後のダウンタイムの必要性など、慎重に検討すべき点が複数あります。

ただし、すべての植毛治療をやめるべきという意味ではありません。

植毛治療の中でも、人工毛植毛など推奨されていない治療法がある一方で、適切な判断と準備のもとで行う自毛植毛は、薄毛治療の選択肢の一つとなり得ます。

重要なのは、治療内容や費用、術後の経過、生活への影響、クリニックの診療体制など、様々な観点から十分に理解した上で判断することです。

本記事では、植毛治療で後悔しないための選び方や注意点を詳しく解説します。

また、毛髪の状態によっては植毛以外の治療法を検討したほうがよい場合もあることから、様々な選択肢についてもご紹介します。

植毛治療を検討している方は、判断基準を見つけるための参考にしてみてください。

なぜ「植毛はやめたほうがいい」と言われるのか

植毛治療では、自分の毛髪を採取して薄毛部分へ移植する「自毛植毛」が主流となっています。

自毛植毛とは、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部から健康な毛髪を採取し、薄毛が気になる部分に移植する治療法です。

自身の毛髪を使用するため、移植後は通常の毛髪と同じように生え続けることが期待できます。

しかし、植毛は外科的な手術を要する治療法であるため、それに付随するいくつかのデメリットがあり、「植毛はやめたほうがいい」という意見も見られます。

そのため、植毛治療を検討する際はメリットだけでなくデメリットも十分に理解した上で、治療を進める必要があります。

以下では、自毛植毛治療を検討する前に知っておくべきデメリットをご紹介します。

薄毛対策として植毛治療を検討している方は、参考にしてください。

採取した部分に傷跡が残る

自毛植毛は、頭部に傷跡が残る治療法です。

自分の頭部から毛髪を採取する手術が必要となり、後頭部や側頭部から採取した毛髪を薄毛部分へ移植する施術を行います。

主にFUT法とFUE法という2種類の採取方法があり、それぞれ残る傷跡の形状も変わってきます。

FUT法とFUE法の違い

項目	FUT法（ストリップ法、FUSS法）	FUE法（ダイレクト法）
採取方法	帯状に皮膚を切開して毛包を採取	専用のパンチで毛包を直接採取
特徴	・線状の傷跡が残る ・より多くの毛髪を採取可能	・点状の傷跡が残る ・比較的傷跡が目立ちにくい

術後の傷跡が目立ちにくい方法としてFUE法が挙げられますが、いずれの方法でも頭皮に跡が残ることは避けられません。

特に短髪の方は手術跡が隠れにくいため、術後しばらくは傷跡が目立つ可能性があります。

植毛治療を検討する際は、それぞれの採取方法の特徴や傷跡について理解を深め、医師と十分に相談した上で判断することが大切です。

手術の副作用やダウンタイムへの懸念

自毛植毛は、局所麻酔を使用して行う外科的な手術です。

内服薬や外用薬による治療とは異なるリスクが生じるため、十分な理解が必要となります。

手術後には一定期間のダウンタイムが必要となり、手術に伴う一時的な症状が現れる可能性があります。

• 症状：術後の一時的な腫れ、痛み、頭皮の違和感など
• 制限：運動、入浴、飲酒、喫煙など

これらのリスクやダウンタイムについて十分な理解がないまま治療を進めてしまうと、術後の経過や生活への影響に戸惑い、後悔する可能性があります。

特に、仕事や予定がある方は、ダウンタイムを考慮した計画を立てる必要があります。

そのため、術後の経過について医師に詳しく確認し、仕事や生活への影響も考慮した上で判断することが大切です。

生着しない場合もある

自毛植毛治療では、移植した毛髪がすべて定着するわけではありません。

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」によると、自毛植毛の生着率は82.5％以上とされており、約10〜15％程度は定着しない可能性があります。

この点を理解していないと、以下のような誤解が生じる可能性があります。

そのため、治療を検討する際は、一定数の毛髪が定着しない可能性があることを理解した上で、医師と十分に相談し、適切な治療計画を立てることが重要です。

イメージと違う仕上がりの可能性

自毛植毛治療の仕上がりは、必ずしもイメージ通りになるとは限りません。

毛髪の状態には個人差があり、移植する毛髪の量や太さ、頭皮の状態、デザインの違いなど、様々な要因が影響するためです。

例えば、同じ本数の毛髪を移植しても、毛髪が太い方のほうが細い方よりも密度が濃く見え、よりボリュームがある印象になる傾向があります。

同じ内容の植毛でも結果はケースごとに違います。特にドナー部の頭髪の太さは結果を大きく左右し、ビフォーアフターの写真は例外なく移植毛が太い“とっておき”のケースです。

引用元：今川 賢一郎．第8回 AGA 治療、植毛．国民生活センター　美容医療の基礎知識，2024年6月号(No.142)

また、頭皮の状態によっても見た目の印象は変わってきます。

そのため、他の方の治療例をそのまま自分の結果と比較することは適切ではありません。

治療前に医師と十分に相談し、実現可能な仕上がりについて具体的なイメージを共有することが、後悔しないための重要なポイントとなります。

初期費用が高額

自毛植毛治療は、他の薄毛治療と比べて1回あたりの費用が比較的高額です。

費用はクリニックごとに異なりますが、一般的には「基本治療費＋1グラフト（移植する毛包単位）あたりの金額×移植するグラフト数」で設定されることが多く、移植範囲が広ければ広いほど費用は高額になります。

M字や頭頂部への植毛の目安となる1000グラフト（1000〜4000本程度）の場合、70〜300万円程度が相場となります。

また、毛髪の採取方法や技術によっても費用は変わります。

頭皮の傷跡が目立ちにくい採取方法や、髪の毛を刈り上げずに採取する手法など、より高度な技術が必要な方法を選択する場合はさらに高額な傾向があります。

治療を検討する際は、希望する施術内容にかかる総額を確認し、経済的な負担を考慮した上で判断することが重要です。

髪が伸びるまでの時間が必要

自毛植毛治療は、施術後すぐに自然な見た目になるわけではありません。

移植した髪の毛は、自然なヘアサイクルの仕組みによって徐々に自然な状態へ近づいていきます。

毛髪のサイクルには個人差がありますが、2〜6年かけて髪が成長する成長期、その後数日間の後退期を経て、2〜3ヶ月の休止期へと移行するのが一般的です。

この一連の流れを繰り返しながら、毛髪は少しずつ伸びていきます。

移植した髪の毛は、通常以下のような経過をたどります。

このように、理想とするヘアスタイルに近づくまでには一定の時間が必要です。

自分の毛髪を移植するため、術後すぐに自然な見た目になると期待しがちですが、ヘアサイクルの仕組みを理解して長期的な視点で見守ることが大切です。

人工毛植毛はやめたほうがいい理由

植毛手術には、自毛植毛と人工毛植毛の2種類があります。

自毛植毛は薄毛治療の選択肢として広く知られていますが、人工毛植毛は医学的な観点から推奨されていません。

両者の主な違いは以下の通りです。

自毛植毛と人工毛植毛の比較

項目	自毛植毛	人工毛植毛
使用する毛髪	自分の頭皮から採取した毛髪	合成繊維で作られた人工毛
自然さ	自然な仕上がりが期待できる	不自然になりやすい
拒絶反応	少ない	起こりやすい
施術可能本数	採取可能な毛髪に限度あり	理論上は無制限
日本皮膚科学会の推奨度	男性型脱毛症：B（行うよう勧める） 女性型脱毛症：C1（行ってもよい）	D（行うべきではない）

以下では、それぞれの特徴と、人工毛植毛が推奨されない理由について詳しく解説します。

自毛植毛と人工毛植毛の違い

2種類の植毛手術における大きな違いは、使用する毛髪の種類です。

自毛植毛は患者自身の後頭部から健康な毛髪を採取して移植する方法で、自然な仕上がりが期待できます。

また、自分の毛髪を使用するため、拒絶反応のリスクも比較的低いとされています。

一方、人工毛植毛は合成繊維で作られた人工の毛髪を頭皮に植え付けます。

理論上は無制限に毛髪を植えられる利点がありますが、異物を体内に入れることになるため、皮膚トラブルや拒絶反応のリスクが高くなります。

また、見た目も不自然になりやすいという特徴があります。

このような違いから、植毛治療を検討する際は、自毛植毛を選択することが推奨されています。

人工毛植毛は推奨されていない

人工毛植毛は、重大な健康上のリスクがあるため、多くの国で推奨されていない治療法です。

例えば、アメリカの食品医薬品局(Food and Drug Administration)では、人工毛を有害器具として指定し、既に使用を禁止しています。

日本でも、日本皮膚科学会が発表したガイドラインにおいて、以下のように明確な見解が示されています。

有害事象の発生を看過できないため，安全性に関する高い水準の根拠が得られるまでは，原則として人工毛植毛術を行うべきではない

引用元：日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」

そのため、もしクリニックで人工毛植毛を勧められた場合は、きっぱりと断ることをおすすめします。

植毛治療を検討する際は、必ず自毛植毛を選択することが重要です。

植毛をやめたほうがいい6つのケース

植毛手術を含む美容医療サービスは、患者とクリニック間でのトラブルが比較的多い治療法の一つです。

国民生活センターの報告によると、美容医療に関する相談件数は年々増加傾向にあり、2022年度には3,000件以上の相談が寄せられています。

美容医療サービスに関する相談件数

年度	相談件数
2019年度	2,036件
2020年度	2,209件
2021年度	2,767件
2022年度	3,709件
2023年度（7月31日まで）	1,845件

出典：独立行政法人国民生活センター｜増加する美容医療サービスのトラブル－不安をあおられたり、割引のあるモニター契約を勧められても慎重に判断を！－(発表情報)

特に多いのは、クリニックからの勧誘方法や施術代金に関するトラブルです。

そのため、自毛植毛を検討する際には、クリニックの選択が重要な要素となります。

以下のような状況が見られた場合、失敗や後悔を避けるためにも、別のクリニックでの相談を検討することをおすすめします。

国民生活センターに寄せられている相談事例の内容も含め、植毛をやめたほうがいい6つのケースについて詳しく解説します。

医師との相談時間が短い場合

植毛治療は医療行為に該当するため、医師による適切な診察と治療計画の検討が不可欠です。

しかし、一部のクリニックでは医師による診察がほとんどなく、資格を持たないカウンセラーとの相談だけで治療方針が決められてしまうことがあります。

薄毛治療で、カウンセラーから勧められるままに治療を決定したが、医師から十分な説明がなかった

引用元：包茎手術、薄毛治療など、男性の美容医療トラブルに注意！｜独立行政法人国民生活センター

初回カウンセリングは、専門カウンセラーが行う場合、医師が直接行う場合などクリニックによって様々ですが、いずれの場合でも医師による診察が実施された後に、治療内容や方針が決定されます。

医師との相談時間がないまま治療に進んでしまうと、治療回数や治療薬が後から追加になったり、説明を受けていた内容とは異なる副作用が生じたりといったトラブルになりかねません。

クリニック選びの際は、専門医との相談時間が十分に確保されているかどうかを確認することをおすすめします。

植毛治療では、十分な診察と説明を受けた上で、治療方針を決定することが重要です。

強引に治療を勧められる場合

植毛治療の選択は、十分な情報と検討時間をもとに行うことが重要です。

しかし、無料カウンセリングだけの予定が、その場での契約を急かされ、納得しないまま決断してしまうケースも少なくありません。

無料診断のつもりで行ったら、不安をあおられて即日施術をされてしまった

引用元：包茎手術、薄毛治療など、男性の美容医療トラブルに注意！｜独立行政法人国民生活センター

特に、キャンペーンやモニター料金など過度な値引きを提示される場合や、疑問点が解消されていない場合には、より慎重な判断が必要です。

その場での決断を求められるような状況では、適切な判断が難しい場合があるため、強引な勧誘を行うクリニックは避け、十分な検討時間を確保できるクリニックを選ぶことが重要です。

また、必要に応じて家族や信頼できる人に相談することもおすすめします。

慎重な判断と十分な検討時間の確保が、後悔のない選択につながります。

費用の説明が曖昧な場合

治療費用は、植毛治療を受ける際の重要な判断材料の一つです。

特に、費用の説明が曖昧な場合は注意が必要です。

植毛治療にかかる費用は、基本的な治療費用以外にも発生する可能性があるためです。

以下のような状況が見られる場合、後になって予想外の費用が必要となるなどトラブルにつながる可能性があるため、慎重な判断が求められます。

また、治療内容と費用の関係が不明確なため、適切な判断が難しくなります。

そのため、費用に関する説明が曖昧なクリニックは避け、詳細な説明を受けられるクリニックを選ぶことが重要です。

植毛治療を検討する際は、総額費用や支払方法について、十分に理解した上で判断することをおすすめします。

リスクの説明が不足している場合

植毛治療は医師による手術を伴う医療行為であり、治療に伴う一定のリスクについて理解しておく必要があります。

リスクの説明が不十分な場合、治療後の経過や注意点を理解しないまま開始することになり、予期せぬ事態に戸惑う可能性があります。

クリニックの説明が不十分であったので解約したい。

引用元：包茎手術、薄毛治療など、男性の美容医療トラブルに注意！｜独立行政法人国民生活センター

特に、起こりうる副作用の内容や治療によるリスク、術後の経過について具体的な説明が不足している場合には、注意が必要です。

十分な説明を受けられるクリニックを選ぶか、必要に応じて複数のクリニックでの相談を検討することをおすすめします。

術後のケア体制が不十分な場合

植毛治療は、治療後の経過観察とケアが重要な医療行為です。

術後は様々な副作用を伴う可能性があり、毛髪の状態にも個人差があるため、相談しやすい環境であることが望まれます。

特に治療直後から数ヶ月間は、丁寧なケアと適切な観察が重要な期間です。

特に以下のような状況が見られる場合は注意が必要です。

植毛手術後は、経過や状態に関する不安や疑問が生じることがあるため、クリニックには十分なサポート体制が求められます。

術後の診察体制や相談体制について具体的な説明がない場合は、別のクリニックでの相談を検討することをおすすめします。

症例実績が少ない場合

植毛治療は、医師やスタッフの専門的な技術と経験が重要な医療行為です。

治療の結果には個人差がありますが、医療チームの経験値が大きく関わるため、実績や経験が十分でないクリニックでは、治療に関する不安が生じる可能性があります。

特に以下のような状況が見られる場合は、注意が必要です。

植毛治療では、毛髪の状態や希望するデザインに応じて、適切な治療計画を立てることが重要です。

そのためには、豊富な経験と実績に基づいた判断が必要となります。

実績の数だけで判断することは適切ではありませんが、症例数が少ないクリニックの場合は、複数のクリニックでの相談を検討することをおすすめします。

十分な実績を持つクリニックで相談することで、より適切な判断が可能になります。

植毛を慎重に検討したほうがいい場合もある

自毛植毛治療は、適切な条件下で実施すれば、髪の悩みを改善する有効な選択肢の一つとなります。

しかし、患者の毛髪状態や生活環境によっては、より慎重な検討が必要な場合があります。

特に以下のような方は、詳しい検討が推奨されます。

これらの状況では、治療のタイミングや方法について、医師との十分な相談が重要です。

状況によっては、他の治療法を組み合わせることや、治療時期を調整することで、より適切な選択ができる場合があります。

薄毛の進行が早期の方

薄毛の進行が早い段階では、治療のタイミングについて慎重な判断が必要です。

移植した部分は比較的安定した状態を保てる特徴がありますが、周辺の毛髪は時間の経過に伴い薄毛が進行する可能性があるためです。

結果的に、将来的に見た目が不自然になったり、追加の治療が必要になったりといった課題に直面することがあります。

そのため、薄毛の進行が早期の場合は、治療開始の時期について医師と十分に相談することが重要です。

場合によっては、治療開始を少し延期し、薄毛の進行状況を見極めることで、より適切な治療計画を立てることができます。

まずは医師との相談を通じて、現在の状態や今後予想される変化について理解を深めることをおすすめします。

その上で、最適な治療時期や方法を検討していくことが望ましいでしょう。

薄毛の範囲が広い方

薄毛の範囲が広い場合、植毛治療だけでは十分な改善が難しい場合があります。

自毛植毛は、自身の頭部から毛髪を採取して移植を行う手術であり、採取できる毛髪には限度があるためです。

このような状況では、以下のような点について医師と相談することが重要です。

場合によっては、すぐに植毛治療を開始せず、内服薬治療などから始めることも選択肢の一つとして考えられます。

状況に応じて段階的な治療を検討することで、より適切な改善方法が見つかる可能性があるためです。

薄毛が広範囲の方は、植毛だけに絞らず複数の治療法を含めて検討できるよう、様々な治療法を取り扱っているクリニックでの相談をおすすめします。

医師と相談しながら、自分に合った治療計画を立てていくことが大切です。

手術に不安がある方

植毛治療は医療行為であり、術後の経過には個人差があります。

手術に不安がある方は、以下の点について医師から十分な説明を受け、理解を深めることが重要です。

手術に不安がある方が確認すべきポイント

項目	詳細
施術内容の詳細	所要時間、麻酔の使用、当日の流れなど
施術後の経過	回復までの期間、副作用の可能性、治療部分の保護方法など
日常生活での注意点	運動や入浴、就寝時の注意点、仕事への影響など
経過観察について	定期検診の有無、相談できる体制など

特に気になる点があれば医師に質問し、不安を解消することが大切です。

手術に伴うリスクや経過に関する説明を十分に理解し、納得した上で治療を検討することをおすすめします。

必要に応じて、治療開始のタイミングや他の治療法についても相談するとよいでしょう。

短期間での薄毛改善を求める方

植毛治療は、自然な仕上がりまでに一定の期間が必要です。

治療の経過には個人差がありますが、以下のような段階を経ていきます。

一般的な術後の経過

時期	経過
施術直後〜1週間程度	・治療部位の一時的な腫れや赤み、痛みなど ・日常生活での制限 ・洗髪方法への配慮
施術後1〜3ヶ月	・移植した毛髪の一時的な脱落 ・新しい髪の毛の成長開始
その後の期間	・徐々に髪の毛が生えてくる ・長さが揃うまでに時間が必要 ・定期的な経過観察

このように、自然な状態になるまでには一定の期間と過程が必要です。

短期間での改善を希望する方は、治療計画や回復期間について医師と十分に相談することをおすすめします。

状況に応じて、他の治療法の選択や組み合わせを検討することも考えられます。

経済的な余裕がない方は慎重に

植毛は、治療費用が比較的高額となる治療方法です。

医療費の支払方法には、クレジットカードや医療ローンによる分割払いなどの選択肢もありますが、長期的な視点での検討が必要です。

分割払いでは分割手数料や金利が発生するため、一括払いと比べて総支払額が増加することに注意が必要です。

医療ローンの場合、一般的に年率3〜15%程度の金利が設定され、返済期間が長くなるほど支払総額は大きくなります。

そのため、月々の支払いが継続できるかどうか、長期的な家計への影響を考慮した上で、無理のない範囲で計画を立てることが重要です。

場合によっては、治療開始時期の調整や、他の治療法の検討も視野に入れることをおすすめします。

医師との相談時には、費用面での不安も含めて相談し、無理のない範囲で自分に合った治療計画を立てることが大切です。

植毛で後悔するリスクを抑える方法

植毛治療では、慎重な準備と適切なクリニック選びが後悔のリスクを最小限に抑えるポイントとなります。

特に「植毛をやめたほうがいい6つのケース」で解説した内容を踏まえ、以下のような点に注意を払うことが重要です。

これらの点に注意を払うことで、治療に対する不安や疑問を解消し、納得して治療に臨むことができます。

また、期待と現実のギャップを減らすことで、後悔のリスクを低減できる可能性があります。

診療体制の確認

植毛治療を検討する際は、クリニックの診療体制が整っているかを十分に確認することが重要です。

特に、医師による丁寧な診察と説明が行われ、十分な相談時間が確保されているかどうかがポイントとなります。

診療体制の確認では、以下のような点に注目します。

さらに、治療後のサポート体制として、状態が思わしくない場合の対応方針なども事前に確認しておくとよいでしょう。

診療体制が整っているクリニックであれば、術後の不安を軽減して治療に臨むことができます。

医師との相談時には、これらの点について具体的に確認し、納得した上で治療を検討することをおすすめします。

症例数や実績の確認

植毛治療での失敗を軽減するためには、クリニックの症例数や実績を確認することも重要です。

長期にわたり植毛治療を実施しているクリニックには、様々なケースに対応した経験が蓄積されているため、個々のニーズに応じた治療計画を立てやすくなります。

具体的には、以下の点を確認しておくと良いでしょう。

過去の症例については、クリニックのホームページで治療例を確認できるほか、カウンセリング時に詳しい説明を受けられます。

治療実績が豊富なクリニックでは、様々な相談事例への対応経験があることで、患者の不安や疑問に対しても具体的な説明や適切なアドバイスを提供できる可能性が高くなります。

クリニック選びの際は、このような診療実績についても確認することをおすすめします。

複数クリニックで相談する

植毛治療を検討する際は、複数のクリニックでカウンセリングを受けることをおすすめします。

一つのクリニックだけでは、治療方針や費用、カウンセリングの丁寧さなどを適切に判断するのが難しい場合があるためです。

複数クリニックでの相談を通じて、それぞれの特徴を比較できます。

例えば、診療方針や治療計画、費用体系などはクリニックによって異なります。

また、植毛治療において、担当医との相性も重要な要素です。

理想とする仕上がりのイメージを共有しやすく、質問や不安に丁寧に答えてくれる医師との出会いが、治療後の満足度に影響を与える可能性があります。

このように、複数のクリニックで相談することで、自分に合ったクリニックを選択できます。

納得のいくクリニック選びは、植毛治療で後悔しないための重要なステップです。

時間をかけて比較検討することで、後悔なく治療に臨むことができるでしょう。

仕上がりや治療計画の共有

植毛治療で後悔しないためには、治療前に医師と十分な話し合いを行い、仕上がりのイメージと治療計画を共有することが重要です。

失敗例として多いのが、期待していた仕上がりと実際の結果が異なるケースです。

治療前の相談では、以下のような点について具体的な確認が必要です。

特に、1回の治療で完了するのか、複数回の治療が必要になる可能性があるのかは、重要な確認ポイントです。

医師との十分な対話を通じて、実現可能な治療計画を立てることで、期待と現実のギャップを防ぐことができます。

疑問点や不安は解消しておく

植毛治療を受ける前に、すべての疑問点や不安を解消しておくことが重要です。

治療内容や経過について十分な理解がないまま治療を開始すると、予想外の事態に戸惑ったり、術後の対応に困ったりする可能性があります。

確認が必要な主な項目は、以下の内容です。

例えば、術後の経過や制限事項について理解が不十分な場合、日常生活や仕事に支障が出る可能性があります。

また、費用に関する理解が不十分なまま治療を始めると、予想外の出費による経済的負担が増える可能性も考えられます。

不明な点は、医師や担当スタッフに質問して十分な説明を受け、その場で解消するようにしましょう。

説明を受けた内容は必要に応じてメモを取り、後から確認できるようにしておくことをおすすめします。

総額費用の確認

植毛治療では、術前のカウンセリングや診察時に、総額費用を詳しく確認することが重要です。

基本の治療費用だけでなく、関連する費用も含めて把握しておく必要があります。

術後のケアに必要な費用や、他の治療法と組み合わせる場合の費用なども、あらかじめ確認しておくことが大切です。

また、支払方法についても、一括払いや分割払いの選択肢を確認し、自身の経済状況に合わせて検討しましょう。

総額費用を把握した上で、無理のない範囲で治療を計画することをおすすめします。

事前の十分な確認が、後々の経済的な不安を防ぐポイントとなります。

植毛治療の理解を深めておく

植毛治療について十分な知識を持つことは、適切に判断する上で非常に重要です。

治療に関する基本的な理解がないままクリニックを訪れると、説明の内容を十分に理解できず、適切な判断が難しくなる可能性があります。

治療を検討する前に、以下のような基礎知識を得ておくことをお勧めします。

例えば、治療方法について十分な知識がない場合、提案された治療法が自分に適しているかどうかの判断が困難です。

また、手術から回復までの期間や必要な休養について理解していないと、仕事や日常生活との調整が難しくなります。

基本的な知識がないと必要な質問ができず、不安を抱えたまま治療を始めてしまう可能性があります。

事前に植毛治療について情報を集め、基本的な知識を得ておくことで、クリニック選びや相談時に適切な判断ができ、術後の経過についても期待と現実のギャップを軽減できるでしょう。

植毛は術後の生活も考慮して判断する

植毛治療は、一度生着すれば自然なヘアサイクのもと生え変わり続ける治療法です。

しかし、手術しただけで完了するものではなく、術後の経過やケアを含めた長期的な視点での判断が必要です。

特に以下の3つの観点から、術後の生活への影響を考慮することが重要です。

これらの点について事前に理解し、準備することで、より適切な判断のもと治療に臨むことができます。

術後のケアや一時的な脱毛期への理解

植毛治療では、術後の一定期間、生活上の制限やケアが必要となります。

施術後の数日間は、以下のような状態が見られる場合があります。

この期間は、入浴や洗髪方法、日常の過ごし方に制限があり、施術部位に負担をかけないよう注意が必要です。

その後、術後1〜2ヶ月程度で一時的な脱毛期を迎えることが多く、約半年から1年半程度かけて徐々に自然な状態になっていくことが期待されます。

このように、植毛は長期的な経過をたどる治療法です。

術後の状態や必要なケア、回復までの期間について十分に理解した上で、治療を検討することをおすすめします。

仕事や日常生活への影響

植毛治療後は、日常生活や仕事にも一定期間の制限が必要となります。

個々の生活スタイルや職種によって影響の度合いが異なるため、事前に十分な理解と準備が重要です。

術後の生活では、以下のような点に注意が必要です。

仕事への影響は、職種によって大きく異なります。

デスクワークであれば比較的早期の復帰が検討できますが、運動量が多い仕事では一定期間の休暇が必要となる場合があります。

また、数日〜数週間はかつらの着用が制限されることもあり、特に接客業など人前に出る機会が多い方は、事前にスケジュールの調整が必要となる場合があります。

これらの制限が自身の仕事や生活に与える影響について、事前に医師と十分に相談することをおすすめします。

状況によっては、治療時期の調整や他の治療法の検討も含めて、慎重に判断することが大切です。

総額費用に無理はないか

植毛治療を検討する際は、経済的な面での準備が欠かせません。

植毛は保険適用外の治療であり、費用は全額自己負担となるため、長期的な視点での予算計画が必要です。

治療費用は、移植する毛髪の量や治療方法によって大きく異なります。

そのため、具体的な費用は診察を受けて、実際に必要な治療内容をもとに医師から詳しい説明を受けることが重要です。

また、基本的な治療費用に加えて、以下のような追加に発生する可能性のある費用もあります。

さらに、術後の経過観察のための通院や、仕事の休暇に伴う収入への影響なども考慮すべき点です。

そのため、診察での説明をもとに具体的な費用を把握し、予備費を含めた十分な見通しを立てることが望ましいでしょう。

必要に応じて、分割払いなどの支払方法についても検討し、家計に無理のない範囲で治療を進めることをおすすめします。

植毛は本当に必要？植毛以外の薄毛治療の選択肢

薄毛治療を検討する際は、自分の症状に最適な対策方法について、幅広い視点での検討が必要です。

自毛植毛治療は、他の治療法で十分な効果が得られない場合に検討される選択肢の一つであり、必ずしもすべての方に最適とは限りません。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、内服薬や外用薬による治療を優先的に検討することが示されています。

フィナステリド及びデュタステリ ド内服やミノキシジル外用による効果が十分でない症例に対して，他に手段がない状況において，十分な経験と技術を有する医師が施術する場合に限り.男性型脱毛症には自毛植毛術を行うよう勧め，女性型脱毛症には行ってもよいこととする.

引用元：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

植毛治療が本当に必要かどうか迷った場合は、まず他の治療法も含めて医師に相談し、総合的な観点から判断することをおすすめします。

薄毛対策の主な選択肢には、以下のようなものがあります。

これらの方法は、それぞれ特徴や費用、継続期間などが異なります。

自分の症状への適合性、治療期間や通院の必要性、費用と継続性、日常生活への影響などを比較検討し、自分に合った方法を選択することが大切です。

内服薬治療はAGAに対して推奨されている

男性型脱毛症（AGA）の治療において、内服薬治療は有効な選択肢の一つとされています。

フィナステリドやデュタステリドによる治療は、日本皮膚科学会のガイドラインにおいて推奨度が高い治療法として位置づけられています。

植毛治療と比較した内服薬治療の特徴は、以下の通りです。

メリット	デメリット
手術を必要としない 日常生活への影響が少ない 月々の費用が比較的安価	継続的な服用が必要 定期的な診察が必要

診察は通常1〜3ヶ月ごとに行われ、処方された薬を毎日服用する必要があります。

費用面では月額3,000円から1万円程度と、植毛治療と比べて経済的な負担が少ないのが特徴です。

ただし、治療の状態を維持するためには継続的な服用が欠かせません。

治療を検討する際は、長期的な通院と費用面での継続が可能かどうかも考慮に入れる必要があります。

また、女性の薄毛治療には適していないため、症状や性別に応じて判断することが重要です。

外用薬治療は男女問わず利用できる

薄毛治療における外用薬治療は、男性でも女性でも利用できる治療法として知られています。

特にミノキシジルを含む外用薬は、日本皮膚科学会のガイドラインにおいて推奨度が高い治療法とされており、性別に応じた濃度が設定されています（男性型脱毛症：5％濃度、女性型脱毛症：1％濃度）。

植毛治療と比較した外用薬治療の特徴は、以下の通りです。

メリット	デメリット
手術を必要としない 男女問わず利用できる 比較的安価である	毎日の使用が必要 継続的な使用が必要 医師の処方が必要

使用方法は医師の指示に従い、通常1日1〜2回の塗布を継続します。

価格は月額5,000円から2万円程度と植毛治療と比べて比較的安価です。

ただし、内服薬治療と同様に、治療の状態を維持するためには継続的な使用が必要となります。

また、定期的な診察を通じて、治療経過を確認することが推奨されています。

医師との相談を通じて、自分の症状や生活スタイルに合った使用方法を決めることをおすすめします。

育毛剤の活用

薄毛予防の一つの選択肢として、育毛剤の活用も考えられます。

育毛剤は医薬部外品や化粧品として販売されており、医療機関での処方を必要としない製品です。

主に頭皮環境の改善を目的としており、手軽に始められる特徴があります。

植毛治療と比較した育毛剤の特徴は以下の通りです。

メリット	デメリット
医療機関での処方不要 手軽に始められる 比較的安価である 男女問わず使用できる	頭皮環境の改善が主な目的 継続的な使用が必要

使用方法は製品によって異なりますが、一般的に1日1〜2回の使用を継続します。

価格は月額2,000円から1万円程度と、医療機関での治療と比べて経済的な負担が少ないのが特徴です。

ただし、育毛剤は頭皮環境を整えることが主な目的であり、薄毛の程度や原因によっては、医療機関での適切な治療を検討する必要があります。

また、継続的な使用が必要となるため、長期的な視点でのコストも考慮することをおすすめします。

かつら・ウィッグの装着

薄毛の対策として、かつらやウィッグの活用も選択肢の一つです。

手術や薬剤による治療とは異なり、すぐに見た目を変えられる方法として注目されています。

また、好みのヘアスタイルを自由に選べる点も特徴的です。

植毛治療と比較したかつら・ウィッグの特徴は以下の通りです。

メリット	デメリット
すぐに見た目を変えられる 医療行為が不要 スタイルを自由に選べる 着脱が可能	頭皮への負担がある 定期的なメンテナンスが必要 ランニングコストがかかる 薄毛を解消するわけではない

費用面では、初期費用として10万円から50万円程度、メンテナンス費用として年間数万円程度が目安となりますが、メーカーによって金額に大きな差があります。

また、2〜3年での交換が推奨されるため、長期的な費用計画が必要です。

かつらやウィッグは一時的な対応策として活用でき、すぐに見た目を変えたい場合や、他の治療法と併用する場合の選択肢として検討できます。

製品選びの際は、専門店で相談し、自分の生活スタイルに合った商品を選ぶことをおすすめします。

また、定期的なケアやメンテナンスが必要となるため、これらのサポート体制が整っている専門店を選ぶことも重要なポイントとなります。

「植毛はやめたほうがいい」に関するよくある質問

ここでは、「植毛はやめたほうがいい」という意見に関連するよくある質問をまとめました。

植毛治療を検討する際の参考として、確認してみてください。

植毛治療の理解を深めて、後悔のない薄毛対策を始めよう

植毛治療は、「やめたほうがいい」という意見がある一方で、薄毛に悩む方にとって一つの選択肢となっています。

ただし、治療の特徴や注意点を十分に理解した上で判断することが重要です。

本記事では、植毛治療の選択にあたって考慮すべきポイントを詳しく解説してきました。

植毛治療を検討する上で、注意すべきポイントは以下の通りです。

• 植毛の中でも、人工毛植毛は推奨されていない治療法である
• クリニックの診療体制によっては、植毛をやめたほうがいいケースがある
• 毛髪の状態や目的、生活環境によっては、植毛を慎重に検討したほうがいい場合がある
• 植毛で後悔しないためには、事前の情報収集と十分な理解が必要
• 手術に伴うリスクや費用面での負担、日常生活や仕事への影響も考慮する必要がある

植毛治療においては、クリニック選びも重要です。

医師との相談時間が短い、治療や費用の説明が不十分、術後のケア体制が整っていないなどの場合は注意が必要で、複数のクリニックを比較検討した上で選ぶことをおすすめします。

また、毛髪の状態や治療の目的、経済的状況などを踏まえ、植毛するか迷った場合は他の治療法も視野に入れ、医師に相談してみましょう。

自毛植毛は、適切な判断と準備のもとで行えば、薄毛治療の有効な選択肢の一つとなり得えます。

ただし、手術に伴うリスクや術後のダウンタイム、自然な状態になるまでの経過、費用や生活への影響など、注意すべき点が複数あります。

大切なのは、植毛に関する理解を深め、メリットとデメリット、注意点を理解した上で判断することです。

本記事で解説した内容を参考に、ご自身の状況に合わせた判断をして、後悔のない薄毛対策を始めてみてください。